後期高齢者の葬祭に関する福祉制度とは？国民健康保険との関係、後期高齢者医療広域連合の役割、葬祭費支給の特例を解説

国民健康保険との関係

国民健康保険は、被保険者が死亡した際に「葬祭費」として一定額が支給される制度がありますが、後期高齢者医療制度に移行した高齢者の場合は、その制度が変わります。

• 後期高齢者医療制度への移行:
  75歳以上の高齢者（または65歳以上で一定の障がいがある人）は、国民健康保険や社会保険から後期高齢者医療制度へ移行します。これにより、国民健康保険の対象外となり、国民健康保険による葬祭費の支給は行われなくなります。
• 後期高齢者医療制度での葬祭費支給:
  後期高齢者医療制度に加入している被保険者が亡くなった場合、葬祭費は後期高齢者医療制度の枠組みで支給されます。これにより、75歳以上の高齢者に対しても、葬祭費の補助が継続されます。
• 国民健康保険と後期高齢者医療制度の違い:
  国民健康保険では、自治体ごとに葬祭費の支給額が異なる場合がありましたが、後期高齢者医療制度では、広域的に定められた基準に従って葬祭費が支給されることが多いです。支給額は多くの自治体で5万円前後となっており、国民健康保険と同様に申請が必要です。

後期高齢者医療広域連合の役割

後期高齢者医療広域連合は、後期高齢者医療制度を運営する組織で、各都道府県ごとに設置されています。後期高齢者の医療費を管理し、葬祭費の支給など、葬儀に関連する支援も行います。

• 後期高齢者医療広域連合の役割:
  この連合は、75歳以上の高齢者を対象とした医療保険制度の運営主体であり、加入者の保険料徴収や医療給付の支払いなどを行います。葬祭費も、この広域連合が申請を受け、支給手続きを行います。
• 葬祭費の申請受付:
  後期高齢者医療広域連合では、故人が加入していた医療保険に基づいて葬祭費の支給を行います。申請手続きは、故人の住んでいた地域の自治体が窓口となりますが、最終的な支給手続きは広域連合が行います。
• 広域連合の支援体制:
  後期高齢者医療広域連合は、葬祭費の支給だけでなく、後期高齢者の福祉全般をサポートしています。特に、医療サービスの提供や、緊急医療費の支払い、長期療養に対する支援なども広域連合の役割の一部です。

葬祭費支給の特例について

葬祭費の支給にはいくつかの特例措置が適用される場合があります。特殊な状況や条件によって、通常の支給額や支給条件が変更されることがあります。

• 支給額の調整:
  葬儀の規模や故人の状況に応じて、通常の5万円よりも多く支給される場合や、逆に減額される場合があります。特例として支給額が増える場合は、例えば公費による葬儀が行われた際に、自治体が追加支援を行うことが考えられます。
• 公費葬儀の場合の特例:
  生活保護を受けている場合など、公費で葬儀が行われた場合は、葬祭費が支給されないケースがあります。しかし、葬祭費に代わって自治体が全額葬儀費用を負担することがあり、これも特例措置の一つです。
• 時効延長や申請期限延長の特例:
  通常、葬祭費の申請期限は故人が亡くなってから2年以内ですが、特例により申請期限が延長される場合もあります。例えば、申請者が病気や緊急事態により申請できなかった場合、事情を考慮して特例として期限を延長することがあります。こうしたケースでは、広域連合や自治体に事前相談が必要です。
• 支給対象外の特例措置:
  通常、後期高齢者医療制度の被保険者が対象ですが、故人が特殊な状況にあった場合（例: 特定施設での長期療養中であったなど）、特例措置として支給されることがあります。このような場合も、自治体や広域連合に相談することで適切な対応を受けられる可能性があります。

後期高齢者の葬祭に関する福祉制度は、故人が加入していた医療保険制度と深く関係しています。後期高齢者医療広域連合が葬祭費支給の窓口となり、申請手続きを行います。また、特例措置が適用される場合もあるため、申請に際しては自治体や広域連合に事前に確認し、適切な手続きを進めることが大切です。