葬儀後の手続き・相続ガイド
後期高齢者の葬祭費に相続税はかかる?申請方法と葬儀費用の控除を解説
後期高齢者医療制度に加入していたご家族が亡くなったとき、葬儀を行った方は「葬祭費」を申請できる場合があります。一方、相続税の計算では、葬儀にかかった費用の一部を遺産総額から差し引けます。
この2つは別の制度です。東京都の後期高齢者医療制度で支給される葬祭費は原則として相続財産に含まれず、相続税の葬式費用控除とは別に考えます。何を申請し、何を記録しておけばよいのか、順番に確認しましょう。
最初に押さえたい3つのポイント
- 葬祭費は葬儀を行った方への給付:東京都の広域連合の基本支給額は5万円。区市町村の上乗せがある場合もあります。
- 葬式費用は相続税の計算で差し引ける場合がある:火葬料や通夜の費用などが対象ですが、香典返しや法要費用は原則対象外です。
- 手続きは別々:葬祭費は区市町村の担当窓口へ。相続税の申告が必要な場合は税務署へ行います。
※金額・必要書類・申請方法は自治体により異なります。税務上の扱いは個別の状況で変わることがあります。
葬祭費と「相続税の葬式費用控除」は何が違う?
葬祭費は、亡くなった方が加入していた後期高齢者医療制度から、葬儀を行った方へ支給されるお金です。東京都後期高齢者医療広域連合の基本額は5万円ですが、区市町村が独自に上乗せする場合があります。たとえば品川区では合計7万円と案内されています。
一方、葬式費用控除は給付金ではありません。一定の相続人などが負担した葬式費用を、相続税の課税価格を計算する際に遺産総額から差し引く仕組みです。
| 比較 | 葬祭費 | 葬式費用控除 |
|---|---|---|
| 何をする制度? | 葬儀を行った方にお金を支給する | 相続税の計算対象となる財産の価額を減らす |
| 窓口 | 亡くなった方の加入先に応じた区市町村など | 相続税の申告先の税務署 |
| 金額 | 東京都広域連合の基本額は5万円(上乗せがある場合あり) | 税法上認められる実際の葬式費用 |
| 主な注意点 | 申請が必要で期限がある | 対象外の費用や控除できる人の条件がある |
「葬祭費を5万円もらったから、相続税で差し引ける葬儀代も5万円減る」とは通常考えません。葬祭費の支給と葬式費用控除は別の制度です。ただし、別の保険金や給付金については個別に確認が必要です。
相続税の計算で差し引ける葬式費用・差し引けない費用
国税庁は、葬儀や埋葬のために通常必要な支出を、一定の条件の下で遺産総額から差し引けると案内しています。請求書に「葬儀一式」と書かれていても、内容によって対象外のものが含まれるため、明細を残しましょう。
差し引ける費用の代表例
- 通夜・告別式の会場費、祭壇・運営など通常必要な費用
- 火葬・埋葬・納骨のためにかかった費用
- ご遺体・ご遺骨の搬送費用
- 通夜など葬儀に通常欠かせない飲食費
- 読経料など、葬儀に際して寺院等へ支払ったお礼
原則として差し引けない費用
- 香典返しの費用
- 墓地・墓石の購入費用や墓地の借入費用
- 初七日、四十九日など法要のための費用
- 仏壇・仏具の購入費用(通常、葬式費用には該当しません)
葬儀と同じ日に繰り上げ初七日を行う場合も、葬儀部分と法要部分を区別して記録しておくと判断しやすくなります。
具体例:葬儀関連で150万円支払った場合
| 支出 | 金額 | 扱いの目安 |
|---|---|---|
| 葬儀社への支払い | 100万円 | 対象となる内容なら控除可能 |
| 火葬・搬送 | 15万円 | 通常は対象 |
| 通夜の飲食 | 20万円 | 通常必要な範囲で対象 |
| 香典返し | 10万円 | 対象外 |
| 四十九日法要 | 5万円 | 対象外 |
| 合計 | 150万円 | この例では対象となり得るのは135万円 |
上記は説明用の例です。100万円の葬儀社請求に対象外の項目が含まれていないなど、条件を満たすことが前提です。また、135万円が税額から直接引かれるわけではなく、相続税の計算対象となる財産の価額から差し引くものです。
支払日・支払先・金額・内容をメモし、可能な範囲で記録を残してください。実際の控除の可否は支出の内容などによって判断されます。
後期高齢者の葬祭費を申請する4つの手順
葬祭費は葬儀を行っただけでは自動的に振り込まれません。亡くなった方の加入先を確認し、必要な申請を行いましょう。
申請する窓口を確認する
東京都の後期高齢者医療制度では、原則として亡くなった方がお住まいだった区市町村の担当窓口が申請先です。住所地特例などの場合は確認してください。
葬儀を行った証明書類を用意する
一般的には、葬儀の領収書または会葬礼状など、葬儀を行った方が分かる書類を求められます。振込口座・本人確認書類・資格確認書などの要否は自治体で異なります。
窓口・郵送・オンラインなどで申請する
利用できる申請方法は区市町村によって異なります。喪主以外の口座を指定する場合、委任状が必要なこともあります。
支給決定と入金を確認する
審査後に指定口座へ振り込まれます。振込までの期間は自治体によって違うため、目安を過ぎても入金がない場合は申請先へ問い合わせましょう。
申請期限に注意
葬祭費は、一般に葬儀を行った日の翌日から2年で申請できなくなります。葬儀後の手続きが多い時期ですが、領収書を保管して早めに申請しましょう。
※東京都内でも申請書類や支給額の上乗せは区市町村ごとに確認してください。
相続税の申告が必要になるのはどんなとき?
ご家族が亡くなったからといって、全員が相続税を申告するわけではありません。相続税には原則として3,000万円+600万円×法定相続人の数という基礎控除があります。
たとえば法定相続人が配偶者と子2人の計3人なら、基礎控除は4,800万円です。相続財産・一定の贈与財産・債務・葬式費用などを適切に計算し、申告の要否を判断します。
申告が必要な場合の期限は、原則として亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。配偶者の税額軽減など、特例を利用するために申告が必要な場合もあるので、判断が難しければ税理士や税務署に相談しましょう。
- 葬儀社の請求書・領収書・明細書
- 火葬・搬送・飲食などの支払い記録
- お布施などの支払いメモ
- 葬祭費の申請控え・支給通知
よくある質問
Q.葬祭費の5万円を受け取ったら、葬式費用控除から5万円を引きますか?
A.後期高齢者医療制度の葬祭費は、原則として相続税の葬式費用控除とは別に扱います。個別の給付金の性質が異なる場合は、税理士等へ確認してください。
Q.家族葬や火葬のみでも葬祭費は申請できますか?
A.東京都の制度では、葬儀やお別れ会に加え、火葬を行った場合も支給対象とされています。葬祭を行ったことが分かる書類が必要です。
Q.相続人ではない人が葬儀を行っても葬祭費を受け取れますか?
A.葬祭費は原則として葬儀を行った方への給付です。相続人であるかどうかだけで決まるものではありません。申請者を証明する書類は自治体に確認してください。
Q.長男が葬儀代を支払えば、必ず相続税から差し引けますか?
A.必ずしもそうではありません。相続税の葬式費用控除には、負担した人の相続上の立場などの条件があります。相続税申告が必要な場合は個別に確認してください。
Q.葬祭費の申請を忘れていました。今からでも間に合いますか?
A.原則として葬儀を行った日の翌日から2年以内であれば申請できる可能性があります。期限が近い場合はすぐに自治体へ確認してください。
Q.葬儀と同じ日に初七日を行った場合、費用はすべて控除できますか?
A.法要に当たる部分は原則として対象外です。葬儀と法要の内訳を葬儀社に確認し、分けて記録しましょう。
まとめ|葬祭費の申請と相続税の準備を分けて進めましょう
後期高齢者医療制度の葬祭費は、葬儀を行った方が申請する給付金です。一方、葬式費用控除は相続税の計算上、一定の支出を差し引く仕組みです。
まずは葬祭費の申請期限と必要書類を確認し、葬儀社の明細や領収書を保管してください。相続税の申告が必要か分からない場合は、税務署や税理士に相談すると安心です。
町屋斎場での葬儀や葬儀後の準備でお困りの際は、葬儀を担当した事業者にもご相談ください。






















































